Kinlin XR-31RTは欠陥品

リム

手組車輪自転車では安全に乗れることが最優先だと考えています。

ホイールで一番重要なのは何といっても【リム】ですね。今回はリムの欠陥についてのお話です。

台湾のKinlin社は比較的廉価ながら多様なアルミリムのラインナップを販売しており,私もこれまでに多数のホイールを組んできました。軽量とは言いませんが,ナローリム,ワイドリム,オフセットリムまで揃っており,価格も数千円で手に入るし,ホール数も20Hから36Hまで揃っていて買いやすいのです。

日本でも一部のホイールビルダーは積極的にKinlinのリムを推奨していますが,ここで問題が。

KinlinのXR-31RT(後輪用のオフセットリム,31mmハイト)でクラックがあるのが分かりますか?

ニップルホールの近くに細かいクラックが入ってしまっています。

クラックの発生した箇所は以下の図の赤矢印の箇所なのですが,ここ厚みが0.25mmしかないのです。

一方で,反対側の青矢印の箇所は厚みが最大1mm。赤矢印の方の面が0.25mm~0.4mmと極めて薄いのに対して,反対側は分厚く作ってあり,肉厚まで「Asymmmetric(非対称)」にしなくてもいいのに!って思ってしまいますね。

もともとアルミリムは軽量化のためにサイドウォールが極めて薄く作られています。私が普段使いにしているXR-31RTリムもサイドウォールはかなり薄く脆弱なので,駐輪場に停めるときに軽く駐輪場の鉄フレームにぶつけただけでサイドウォールが凹んでしまいました。そのときは幸いクラックまでには至りませんでしたが,あまりの弱さにショックを受けました。

XR-31RTの左側(反フリー側),特に弱いので注意ですよ!!!0.25mmってアルミ缶(約0.1mm)の2倍の厚みしかないですからね。

今回のKinlin社のリムのクラックについて,Kinlin社は製造上の問題と回答していますが,私は単発の不具合だは考えておらず製品リリース後,継続的にこの問題は残っており,設計上の問題だと考えています。

Kinlin社の設計思想的には「ニップルホールの部分だけは肉厚に作って割れにくくする,それ以外の箇所は薄肉大口径にすることで剛性を確保する。その際に,薄肉化したリムは強度が犠牲になるが,軽量化とのトレードオフなので強度を犠牲にしてでも軽量化・高剛性を優先する」考えでXR-31RTシリーズを出したものだと考えています。

Kinlinの中でも31mmハイトは高い方で,市場で手に入りやすい軽めのセミディープリムとして私も使い勝手が良く気に入っていましたが,クラック問題が生じたとなると話は別です。ちょっと攻めすぎの設計でしたね。

手組車輪自転車としては,今後Kinlin XR31RTのリムは推奨しません。

現在,XR-31RTをお使いの方は別のリムへの組み換えをオススメします。
一部のホイールビルダーがXR-31RTが安いからと言って勧めてきたとしても断った方がベターです。EastonやHED,DT Swissあたりのリムは完成度が格段に高く,Kinlinとはアルミの素材の材質からリム接合部の仕上げ,ニップルホールのバリ取り,表面の塗装のムラの無さまで含めて加味すると,決してコストパフォーマンスは悪くありません。

私の手持ちのホイールについてもブレーキベッドの厚みも痩せてきているので,これを機に別のリムに組み替えようかと考えています。

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