ホイールの設計講座 (1) スポーク数の決定

スポーク

手組車輪自転車では,以下のような流れでホイールの設計を行います。

(1) スポーク数の決定
(2) 組み方の決定
(3) リムの選定
(4) ハブの選定
(5) スポークの選定
(6) ニップルの選定
(7) ホイールの仮組(右落とし,左落とし,バルブ除け)
(8) 振れ取りとテンション調整

ホイールを組む際に最初に決めるのは組み方です。

ただし,前輪は正直言って特に悩むことはありません。前輪のスポーク数は少なければ少ないほど良いのです。
私のオススメは前輪は18Hまたは20Hです。前輪に関しては通常は24Hさえも必要ないと思います。

さて本題の後輪の組み方を検討する上で重要なのは,以下の4つです。

剛性:スポーク本数が多いほど剛性が高く,掛かりが良い
強度:スポーク本数が多いほど強度は高い
空力:スポーク本数が少ないほど空力が良い
重量:スポーク本数が少ないほど重量が軽い

これらの要素はトレードオフなので,用途や好みに合わせて選びましょう。
後輪の性能は走りに直結し,ホイール組の9割は後輪で決まります。
目的に合わせて特長が際立ったホイールを作った方が,ホイールを換えて走り比べる楽しみがあります。

クラシカルなホイール

ランドナーやサイクリング車などクラシカル自転車には,スポークが多い(36H, 32H)方が似合います。
重量度外視でスポーク多め,リムもハトメの付いたナローリムで組んでしまいましょう。
サイクリング者ではタイヤも重めのものを装着するので,多少軽量化したところで走りは変わりません。
走りの軽さよりは道中で立ち寄った思い出の地での自慢のサイクリング者の『映え』を重視して行きたいですね。
クラシカルなホイールに関してのみ,前輪

ロングライド向けホイール

長距離走る場合は強度が大切です。出先でスポークが折れるなんてことがあるとせっかくの思い出の旅が台無しです。
スポーク多め(32H)にしましょう。
空力は劣りますが長距離を高速で走ることはまずありえないので,空力はあきらめてください。

ヒルクライム向けホイール

ヒルクライムでは軽さが命。スポーク本数は少な目(24H)にしましょう。
軽いホイールを高強度で淡々と踏み続けるのがヒルクライムが速くなる近道です。
ヒルクライムでスプリントすることなんてまずありえないので,剛性はあきらめてください。
ダンシングしなければ剛性不足を感じることもないでしょう。

平坦向けホイール

川沿いや海沿いのサイクリングロードなど風が強くて平坦を走る場合は空力が命。スポーク数は少な目(24H)で行きましょう。
平坦なので速度も出やすく,ホイールの空気抵抗が馬鹿になりません。
サイクリングロードでスプリントすることなんてまずありえないので,剛性はあきらめてください。

レース向けホイール

レース向けの場合は迷わず市販のカーボンホイールを買ってください。
手組ホイールでレースに出ようなんていう方はまずいないので,本講座では割愛させていただきます。

まとめるとスポーク数については,以下の表の数値で選んでおけばまず問題ありません。

クラシカル:36H, 32H
ロングライド:32H
ヒルクライム:24H
平坦:24H

さあ,次からは本格的に組み方を検討していきましょう。

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