ホイールの設計講座 (4) ハブの選定

ハブ

ホイールの中で地味で人気が無いパーツ,それがハブです。
何故人気が無いかというと理由は簡単で,ホイールの中心近くにいるため,ホイール外周部のタイヤやリムほど走りへの影響が大きくないから。

でも,その地味さがいいんです。

前輪のハブは複雑な構造をしていないので割愛してもいいでしょう。
リムブレーキ用のフロントハブであれば,幅100mmの左右対称形状と相場が決まっています。
特殊なことは何もないので,好きなものを選んだらいいと思います。

では,後輪のハブはどうか?
後輪は自転車の駆動輪であり,ペダルで漕いだ力を路面に伝達する部品の一つとしてリアハブは超重要です。
とはいえ,1位:タイヤ,2位:リムに続いて3位:リアハブという扱いですが…。

リアハブにはフリーハブと呼ばれる駆動力を伝達しつつ,ペダルを止めたときには負荷を開放するワンウェイクラッチ機構(フリー機構)が備わっています。

そのため,各社オリジナルなフリーハブの構造を開発しており,調べれば調べるほどドツボにはまります。

リアハブの構造を分類すると以下のようになります。

爪方式:2個~6個程度の爪が噛みこむことで駆動力を伝達します。ペダルを止めると爪が寝た状態になりフリー走行可能です。
最も代表的でシンプルな構造なので世の中の8割ぐらいは爪方式のリアハブではないかと思います。
メーカーでいうと,シマノ・カンパニョーロ・マビックあたりは爪方式のリアハブを得意としていますね。

スターラチェット方式:DTスイスの240, 350ハブが良く知られていますが,18歯・36歯・54歯等のギザギザのリングが噛み合わさることで駆動力を伝達します。
特許の関係でDTスイスの独壇場でしたが,最近はシマノも12速デュラハブでスターラチェットを採用しました。
今後は採用が増えていくと思います。
スターラチェットによく似た構造なのがクリスキングのドライブリング・ドリブンリング構造になります。
ただし,パーツ点数は多く複雑なので別物と考えた方が良いかもしれません。DTスイスのスターラチェットは部品点数も少なく製造コストも安く,よくできています。

スプラグ方式:オニキスレーシングが製造するVesperシリーズのリアハブで採用されているのがスプラグ方式です。
細かい30枚程度の板が円筒内部で突っ張る/寝ることで駆動力を伝達します。
爪やスターラチェットのように,歯と歯がかみ合う構造ではなく,あくまで摩擦力だけで駆動力を伝達するためかなり特殊な構造と言えます。
正直なぜ滑らないのかよく分かりません。
スプラグ方式のリアハブは定価8万円程度と非常に高価ですが,人気です。

さて,これらのハブの中からどれを選ぶかですが,正直性能にはあまり影響はないためどれを選んでも構いません。
爆音が好きならスターラチェットを,静かなハブが好きなら爪方式かスプラグ方式を選んでおけば間違いないでしょう。

私は普段シマノのアルテグラハブ(FH-6800)やDTスイスの240ハブを使っていますが,どちらも性能的には申し分ないです。
漕いでる分にはDTスイスの方がすぐに掛かってくれるので踏みやすいというのはありますが,
足を止めなければ大差ないので違いもあまり気になりません。

やはり所有感や満足感に一番影響を与えるのは「爆音」があるかないかでしょう。
私はDTの爆音が好きです。

私と同じ完成をお持ちの方は,DTスイスの240ハブ,350ハブを買いましょう!幅広いスポーク数に対応しておりラインナップが充実しているのが一番使いやすいポイントです。
それか変化を付けたければカンパニョーロのRecordハブ(32Hしかないですが),クリスキングのR45ハブ(高価ですが)でもいいと思います。

またフリーハブの音が静かなのが好きならシマノのFH-9000, FH-6800, オニキスレーシングのVesperあたりを選びましょう。

今回の講座ではハブを選定することができました。
次回はみんな大好きスポークの選定をしていきましょう。

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