ホイールの設計講座 (5) スポークの選定

スポーク

前回の講座ではハブを選定しました。すでにリム・ハブ・組み方が決定していますので,今回の講座ではスポークを選定していきましょう。

スポークを選定する上では以下のポイントがあります。

重量:タイヤやリムほどではないがスポークも金属で重いので軽いほど加速感が良い。
空力:高速巡行する上ではスポークのエアロ効果は馬鹿にできない。

スポークの形状は大きく分けて3種類に分かれます。

プレーンゲージスポーク:丸い〇型断面形状で最も強度が高く,重量は重く,剛性が高い。1本50円前後と安いので64本(32H x 前後輪)買ったとしても3200円と安上がり。


バテッドスポーク:丸断面形状を引き延ばしたスポークで,両端だけは太いが中央部は細く絞られている。重量は軽く,剛性がやや低い。強度的には両端は太く強化されているので特に問題はない。軽量なホイールを目指すならコレ。1本100円前後でプレーンスポークの2倍のお値段。44本(前輪20H, 後輪24H)買ったら4400円程度。


エアロスポーク:丸断面形状を横から叩き潰した薄型スポークで,両端だけは太くて丸いが,中央は薄い板状に加工されている。最も空力が良く,高速で走行する場合には大きな違いが生まれる。平坦用にはコレ。1本300円から400円前後でプレーンスポークの8倍のお値段。44本(前輪20H, 後輪24H)買ったら15000円程度となりかなり高額になる。

以上特長をまとめるとこうなります。

プレーンゲージバテッドエアロ
重量×
空力×
価格50円/1本100円/1本300-400円/1本
スポークの形状比較

普通にホイールを手組するのであれば,さほど値段が上乗せされずに軽く仕上げることのできるバテッドスポークをオススメします。

主要なスポークメーカーは

DT Swiss
スイスのスポークメーカーで最大手。自前でリムやホイールも製造しており品質が高い。どのショップに行っても必ず在庫がある。入手容易。


Sapim
ベルギーのスポークメーカーで超大手。エアロスポークの先駆け的な存在で高品質。どのショップに行っても必ず在庫がある。と言いたいところだが,コロナショックで2020年以降は半年~1年在庫が補充されない事態に陥り,Sapimの評判は地に落ちた。材料の入手(調達部)や工場の運営,海外への流通体制に大きな問題を抱えており,欲しいときにスポークが手に入らないというのを一度経験してしまうと,Sapimは避けた方が良いと感じてしまう。今はSapimよりDT Swiss一押し!


Pillar
台湾のスポークメーカーでマイナーだがSapimやDTに似た幅広いラインナップを揃えている。通販で購入可能。



日本のスポークメーカーで最もメジャーだが,実際に使った印象ではDTやSapimより加工のバラツキが多い印象がある。といってもスポークが折れた経験は無いので品質は高い。

ここに載せていないですがCNスポークはオススメしません。過去に値段が安いのにつられて何本もCNスポークのホイールを組んだのですが,スポーク折れのトラブルを何回も経験しており,DTやSapimよりは品質が劣ると感じています。(20年ぐらい前の経験なので現在は改善している可能性あり。)

迷った場合はDT Swissのコンペティションスポーク(バテッドスポーク形状)を選択してください。これは外れ無しです。入手性が高く,不満はゼロ。

今回の講座ではスポークの選定を行うことができました。
次回の講座ではニップルを選定していきます。

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