ホイールの設計講座 (9) ホイール設計くん ハブ情報入力)

ハブ

続いてハブ情報を入力していきます。

ハブ情報は基本的にメーカーのカタログ寸法で構いません。もちろん,実測することも可能なのですが,メーカーの提供している寸法除法から大きく乖離しているケースが少ないので,個人的には実測せずメーカー情報を使っています。とはいえ,メーカー廃盤だったりするケースもあるのでその場合はノギスを用いて測定してください。

下図が『ホイール設計くん』のハブ情報入力欄です。それぞれの言葉の定義について解説していきます。

その前にまず後輪ハブの外観図を載せておきましょう。

ハブ寸法情報

左右フランジ幅

左右フランジ幅というのは,その名の通りフランジ間の寸法です。フランジ自体が2.5mm程度の厚みを持っていますので,実測する際には左フランジの中央と右フランジの中央の間隔をノギスで測定してください。

シマノのFH-9000(デュラハブ)であれば以下のような情報が公開されていますので,メーカーサイトを調べるのが一番手っ取り早いです。

オフセット量

オフセット量(おちょこ量)というのは,【左右フランジの中心】と【ハブのオーバーロックナット間の中心(ハブ中心)】の間の距離のことを指します。

シングルギアの後輪ハブなどではオフセット量がゼロの場合もありますが,多段後輪ハブの場合は右側にフリーハブが取り付いている都合上,ハブの中心(オーバーロックナットの中心)から見て右側のフランジまでの距離の方が短いことが多いです。

左右のフランジPCD

フランジPCD(Pitch Circle Diameter)とはハブフランジのスポーク穴のピッチ円直径のことを指します。図を見ていただくのが一番わかりやすいです。基本的のどのメーカーであっても,この情報は必ず公開しているはずなので探すのは用意です。情報が見つからない場合はノギスで測定してください。

実践演習

シマノの場合は後輪ハブの情報として「オフセット量(おちょこ量)」を掲載してくれていますので,そのままこの値を使ってください。

シマノ以外のメーカーの場合は,このオフセット量ではなく,
・WL = 左フランジ~ハブ中心距離
・WR = 右フランジ~ハブ中心距離
をそれぞれ記載しているケースもあります。その場合は左右フランジ間距離とオフセット量を計算で出す必要があります。
以下の式で求めてください。

左右フランジ間距離 = WL + WR

オフセット量 = (WL – WR) / 2

Chris King R45のハブ情報の例 (Center to Flange DS(右側)が17mm, Center to Flange NDS(左側)が34.3mm)と記載されています。この場合,左右フランジ間距離とオフセット量はそれぞれ
・左右フランジ間距離 = WL + WR = 34.3 + 17.0 = 51.3mm
・オフセット量 = (WL – WR) / 2 = (34.3 – 17.0)/2 = 8.65mm
となります。

スポーク穴径

これもおまけのようなもので,多くのメーカーでは2.0mm~3.0mm程度のスポーク穴が空いています。もしメーカーが提供してくれている情報があればそれを入力してください。情報が無い場合はデフォルト値の2.5mmで計算してもらって構いません。大きな差は出ないので。

以上の情報を入力するとこのようになります。

今回の講座で『ホイール設計くん』にハブ情報をすべて入力することができました。
次回の講座では『ホイール設計くん』に組み方の情報を入力していきます。

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