ホイールの設計講座 (7) スポーク長さの計算準備(リムERDの求め方)

スポーク

前回の講座まででホイールを組む上で必要なパーツの選定は完了です。リム・ハブ・スポーク・ニップル・組み方まで決定したので,あとは詳細設計のフェーズに入っていきましょう。

今回の講座ではスポーク長の計算を行っていきます。ここまでの講座では一切数字の話は出てきませんでしたが,ここから先はひたすら数字です。

まずスポーク長を計算する上で一番大事なのはリムの直径です。

リムの直径のことを専門用語では,ERD = Effective Rim Diameter 有効リム直径と呼びます。
このERDは下図のように,リムに開けられた対角線上のニップル末端~ニップル末端までの距離のことを指します。各リムメーカーは必ずERDの公称値をカタログに載せてくれていますので,まずはその情報を探しましょう。

ただし,ニップルの形状はよくよく見るとメーカーごとに微妙な違いがあるので,同じリムであってもニップルが変わると,ニップル末端~ニップル末端までの距離に差が出ることがよくあります。そのため,本来はリムとニップルを先行して入手しておいて,リムの現物合わせでERDを実測するのが最も確実です。もちろん,が,それを信用するよりはひと手間かけて実測してみましょう。そんなに面倒な作業ではありません。

ERDの実測には以下のものが必要です。
・使用予定のリム:実測用。先行して手配してください。
・使用予定のニップル2個:実測用。先行して手配してください。
・適当な余りスポーク2本:実際に使用予定の物でなくて構いません。あくまで測定ジグとして使用します。中古でも可。
・ノギス:スポーク頭間距離を測定するための計器です。

・スポーク定規:ParktoolのSBC-1など各社が出しているスポーク長測定可能な定規です。

それでは部材が揃いましたので実測のやり方を説明していきます。

まず,スポークの長さを測定します。 やり方は簡単で,スポークをスポーク定規に載せて長さを測定してください。2本とも実測値を測定したら,それぞれ【A】【C】として記録します。

続いて,スポークをリムの穴に通してニップルを末端まで締め込みます。対角線上の2か所で向かい合うようにニップルを取り付けてください。そしてスポークの頭のところにノギスをひっかけて,スポークの頭の間の距離を測定してください。この値を【B】とします。

先ほど測定した,スポーク長2か所【A】【C】および,スポークの頭間距離【B】は下図のようになっており,【A + B + C】の合計の値がERD実測値に相当します。

このやり方はホール数が奇数の場合は使えませんが,21Hのリムなどは手組用では通常は使用しません。多くの方は16H~36Hまでの偶数ホール数のリムをお使いだと思いますので,この測定方法をオススメします。

もちろん,このやり方が面倒という場合はメーカーのカタログ値を見てください。多少ニップルの違いによって誤差が生じるとは思いますが,それでも組めないということはまずないと思います。

以上,ERDの求め方でした。

次回は『ホイール設計くん』を使用して,スポーク長を求める方法を解説していきます。

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